2020年 1月 6日(月)
一眼二足三胆四力
- 天上天下 棗 真夜 -
(いちがんにそくさんたんしりょく)
普段から練習がすべてではないっていうことをランニング教室やランニングクリニックを伝えているけど、ランニングに限ってだけではなく他のスポーツ(武道・武術)でも言われていることだったりする。
一眼(いちがん)
二足(にそく)
三胆(さんたん)
四力(しりょく)
走るのに眼?
足はわかるけど…
たん?たんって何?
力はわからないこともないけど、練習しないと話にならないよ!
なんて思われるだろうね。
この言葉は「天上天下」という漫画からの引用だけど、良いことを言ってるからランニングに置き換えて考えてみよう。
即ち膂力(りょりょく)は最も鍛え易く 努力さえすれば誰でも得られる
されど力は胆力…即ち精神力にたやすく左右され 或いはねじ伏せられ
また いかに心身氣力充実したものといえど 足…即ち間合いの利・地の利・戦術の利を相手に抑えられてはなす術なく
さらに それらすべて睥睨(へいげん)し “戦”のすべてを見切る眼力を得た者こそが…
いわば 最も“強き者”として勝利を得る
と書かれているけど、多くのランナーが納得できるんじゃないのかな。
膂力…筋肉の力 腕力など
睥睨…にらみつけて勢いを示すこと
どれだけ練習したとしても大会に対して気持ちが乗ってなかったら走れないだろうし、練習をたくさん積み重ねて精神的に満たされていたとしてもコース条件・気象条件の前に打ちのめされることもある。
わかりやすく表現してみよう!
周りを走るランナーの勢いに流されてペースを乱し、腕時計をチェックしたらあまりの速さに「やってしまった…」と慌てたこともあるだろう。
後半の起伏や思わぬ強風や気温・天候に振り回され、「こんなはずじゃなかったのに…」と思ったこともあるだろう。
これらはレースを走る自分自身について「今はどのように走るべきか」と客観的に判断できていないことが原因だよね。
それを「走り込み不足でした」だなんて…。
練習量にこだわるということは「四力」しか意識していないということだし、メンタルが弱いとか気合いが足らないとか「三胆」の精神力や気力を口にする人がいるけど、それは実力以上のペースで走っているからエネルギー切れを起こすのは当たり前だし、「二足」の地の利・戦術の利は頭に入っていないし、「一眼」なんて自分自身で決めたパターンに当てはめようとしているだけだし。
そのどれもが自分自身の理想であって正確に実力を把握しているとは言い難い。
(練習結果から自分のことを分かっているつもりでも、それは設定タイムという基準をクリアできたかどうかだけであって、自分の実力が本当にそのレベル化はまた別の話…)
しっかりと練習を積み重ね、「僕(私)はこれだけやれるんだ」という自信を作って精神力や気力を充実させ、それらを活かすために大会当日のコースや天候などを把握し、すべての状況に合わせて臨機応変にパフォーマンスを最大限発揮させようと対応する。
トップ選手は当然だけど、一般ランナーもこの基準の中で楽しく走っているだけでも自己ベストは高い確率で自己ベストを更新し続けることも可能だったりする。
…誰も信じないだろうけど。
走るのはパフォーマンスを向上させるために必要なことだけど、それ以上に考えないといけないことがあるんだよ。