2020年 5月 18日(月)
上昇志向にある落とし穴。
例えば「これをやればストライドが伸ばせる」とかあるけど、現実はそう単純なものではなく、根本的なことが変わっていないので残念ながらちょっとやそっとで身体の動きが変わったりはしない。
間違いではないんだろうけど、そのトレーニングの恩恵はメソッドや指導者(発信者)に対する盲信的な信仰の力に依拠している場合が多く、効果が出たのはトレーニング自体の効果ではなく反復して行ったことで以前より運動量が増えたということが考えられる。
そういう事実とは裏腹に、世の中全般に当てはまるのはポップでライトな手法が流行ったりするんだよね。
「1日10分で…」がその最たる例であり、探してみると「1日1分で…」みたいなものがあったり、ひどいものは「たった〇〇秒で…」というものがある。
僕からするとYouTubeに溢れている「これをするだけで…」は「たった〇〇秒で…」と大して変わらない。
(オンラインミーティングをしている方も指摘している指導系YouTuberがいるから要注意!)
中には洗練された質の高いものもあるから全てが良くないと言っているわけではないけど、巷に横行する指導系YouTuberの中身は商業ベースの手法であって大半は継続性に問題が生じる可能性があるものばかりだったりする。
「そういえば〇〇〇〇メソッドってあったよね」と言われるようなものがまさにそれ。
それを受け入れてしまっていることに問題があると思うけど、その情報を提供する側にもっと問題があると思う。
(言葉が悪いけど“利用されている”)
「良い情報を提供する対価として報酬(収入)を得る」のならわかるが、「収入を得るために疑わしい情報を提供する」というケースになっているから注意しないといけないよね。
問題なのは情報を提供していることではなく、疑わしい情報が問題だと言っているので勘違いしないでほしい。
SNSで医療系の仕事をしているランナーが「身体に痛みが出るぐらいが…」とか言っていたら問題でしょ?
話を戻そう。
「上昇志向」というのは、特定の価値観や決められた枠組みの中で直線的(盲目的)に自分を高めていこうとする状態のこと。
(向上心が強いとも言う)
この上昇志向が強い人は特定の価値観の中で頑張り過ぎているので、結果として身動きが取れなくなって頭打ちになっている場合が多くあり、過酷な練習を繰り返すあまり心身共に疲労困憊となって、特定の価値観や決められた枠組みの中でしか物事が判断できなくなっているから身体を痛めることもある。
「僕(私)は上昇志向ではない」と思っている人がいるかもしれないけど、今の自分の練習方法に「これが良い」「あれが良い」「これをやろう」「あれをやろう」を取り入れてばかりの人は同じ状態にあるので注意しないといけない。
これは“真面目”というわけではなく、“考え方に柔軟性がない”ということ。
物事がうまくいかない、目標が達成できないという方も同じ。
(物事がうまくいかなかった、目標が達成できなったという方も含む)
こういった「継続性に問題があるもの」や「今あるものに良いと言われるものをすべて取り入れようとするもの」は改善とは言わず、どれもが一時しのぎのまやかしと言っても過言ではない。
固定的な価値観にしがみついて盲目的に練習を繰り返しているうちは、成長をするために必要な「自我の崩壊と再生」が捗らないから失敗を繰り返すことになる。
強過ぎる志向が歪んだ思考を生んでいる可能性があるってことかな。
今よりも成長することを考えるのは大切なことだけど、小さな枠組みや個人の価値観だけで取り組もうとはせず、自分とは違う考え方を持った周りの人達と意見交換をしながら、自分自身の思考を崩壊させたり構築し直したりすることによって、今よりも成長することができる。
今よりも良くなろうとする気持ちがないと長続きはしないけど、盲目的に良くなろうとしたとしても良くないということを心にとどめておく必要があるわけだ。
いろいろと気をつけていこうね。