2020年 7月 23日(木)
「追い込む」を誤解しているかもしれない。
でも、この話をしようとするともっと違う部分から説明をしていかないといけないことになる。
というのも、負荷をかける練習のことを「ポイント練習」と言う人がいて「ポイント練習とは何なのか」というところから理解をしていくことが重要だから。
まず、どうして「ポイント練習」と言うのかということ。
この「ポイント」という言葉の意味は次の通りです。。
① 点。地点。箇所。
② 要点。重要な箇所。
③ 得点。点数。
④ 転轍機(てんてつき)。
⑤ 小数点。コンマ。
⑥ 二つの指数の差違を表す単位。
⑦ トランプの一点札。エース。
⑧ 活字・込め物などの大きさを表す単位。
「④ 転轍機(てんてつき)」は聞き慣れない言葉ですが鉄道線路の分岐点に設ける装置のことで、例えるならレールをA路線からB路線へ切り替える際に働くものなのでランニングとは関係がない。
(成長するかしないかを分ける練習として考えるなら「分岐させるもの」と考えることができるかもしれない…違うけど)
ほとんどのランナーがポイント練習のことを負荷をかける練習という意味で「① 点。地点。箇所。」のようなイメージで使っているかもしれないし、ジョグとは違う重要な目的のある練習(心肺機能を高める練習など)として「② 要点。重要な箇所。」という意味で使っているかもしれません。
③や⑤、⑦や⑧だと意味が違ったものだから言うまでもなく。
気になるのは「⑥ 二つの指数の差違を表す単位。」という意味で、物価や賃金など変動の模様をわかりやすく示すために使われたり、世論調査で「政府の支持率は〇ポイント上げて(下げて)…」と使われる意味に近いものだと僕は思っています。
二つの指数の差異、つまりは「ジョグと負荷をかける練習では強度に差異がある」という意味で「ポイント練習」という認識です。
ジョグだろうと負荷をかける練習だろうとトレーニングとして考えると大切なものだから、すべてをポイント練習と考えることもできるので負荷をかける練習のことだけをポイント練習と呼ぶことに疑問が浮かぶ。
(LSDはペースがジョグに近いからポイント練習と認識していないはず。負荷として考えると十分なポイント練習となり得るからね)
なので、この「ポイント」という言葉を「⑥ 二つの指数の差違を表す単位。」として話を進めます。
(そのほうが話を進めるうえで便利なのでご了承ください)
では本題。
負荷をかけて練習をする日(以下、ポイント練習)は疲労困憊になるまで追い込まないと効果がないように思われている人がほとんどかもしれないが、ポイント練習はある一定のレベルを超える負荷をかけることができれば十分に効果を期待できるほどのものにすることができます。
要するに、 その練習へ取り組む際に決める強度(ペース)や内容(距離)は疲労するレベルであって疲弊するレベルではないということです。
疲弊の意味は「蓄積した疲労により心身共に疲れ果てて弱ってしまうこと。それにより何もしたくなくなること。」を意味していて、身体を痛めたり体調を崩すことが多い人は「疲労する強度」ではなく「疲弊する強度」で練習をしているというわけです。
競技レベルの選手達(トップアスリート)が使う「追い込む練習」とは、翌日の疲労を回復させる練習を挟んで次のポイント練習までに自身の回復能力で疲労を除去する程度の強度を指すことがほとんどです。
「身体を痛める」「体調を崩す」ということは練習の失敗を意味するので、次のポイント練習までに疲労をできるだけ早く回復させ、コンディションをできるだけ良い状態に保って次の練習も有意義なものにしないといけません。
パフォーマンスはトレーニングで維持されるからです。
それなのに「どういうわけか気分(気持ち)が乗らない」「脚が痛い」「途中で終了してしまう」「途中で休憩を挟まないとできない」というようなトレーニングをしていては良くないですよね。
「だからこそ途中で止めてはいけない。休んではいけない。」というわけではありません。
「気分(気持ち)が乗らない」「脚が痛い」「途中で終了してしまう」「途中で休憩を挟まないとできない」はどれも「負荷が高過ぎる(追い込み過ぎている)」ということが原因になっているケースがほとんどです。
「負荷が高過ぎる」ということは「疲労の蓄積スピードが回復能力を上回ってしまっている」ということを意味しています。
これだけの説明を聞いて「でも負荷をかけないと…」と思ったなら理解されていないということなので最初から読み直してください。何度も読み返してください。
「練習をすること」ということがどういうことなのかを理解しないことには今後も身体を痛めたり体調を崩すことになるので何も解決しませんからね。
リスクを当たり前(高い確率で発生する)としてパフォーマンスを向上させるのか。リスクをできるだけ回避してパフォーマンスを向上させるのか。選択次第では数年後のコンディションに大きく影響することになりますよ。
「追い込む」の意味や意図を理解しておいたほうが身のためだと思います。