2020年 1月 11日(土)
チームに所属したほうがいいんですか?
読者からのリクエスト
「一人で走るのが寂しい」「一人だと追い込む練習ができない」など一人で大会を意識した練習をしていると練習の強度が高過ぎるあまり弱気になってしまったり、大会で自分の結果は良くなかったのにチームで練習をしている人が良い結果を出したと知ったときに、「チームへ所属したほうがいいのかなぁ」なんて思ったことがある人もいるはず。
たしかに誰かと一緒に練習をしたほうが強度の高い練習にも取り組むことができるし、きつくなってきたとしても一緒に走っている人がいるから我慢して走り続けることができるかもしれないけどね。
それは練習をする本人の問題だけど、そういったことを吹聴してチームへ誘おうとする人もいたりするから質が悪い。
練習がうまくできていなかったり大会で良い結果を出すことが続いていないときにそんなことを聞かされたら「…そうなのかな?」と思ってしまうことがあるかもしれないよね。
でも、本当にチームで練習をしたり誰かと一緒に練習をしたほうがいいのかなぁ。
一人で練習できない人達が集まって「僕達は一人で練習なんてできないから〜」と自分達は弱いと暗に言っているとも考えられるし、一人で走る瞬間がレース中にあったらどうするんだろって思わなくもない。
(一人で走る瞬間はあまりないけど、自分自身の前にぽっかりとエアーポケットみたいにスペースが生まれ、みんなが後ろにいて自分をペースメーカーや風除けにされていた場合ね)
たまには僕も誰かと一緒に練習をすることがあるから、誰かと練習をすることやチームに所属することがダメだとは言ってません!
(これはしっかりと書いていないと誤解される)
どんなことでもそうだけど、練習をするときのメリットばかりが取り上げられることがほとんどで、メリットと同時にデメリットも生じていることを伝えたり考えたりする必要ってあるんじゃないかな。
メリットは最初に挙げた通り、つらい練習にも誰かがいるおかげで取り組めたり、つらくなったとしても我慢できたり、一人ではできない強度の練習をクリアすることもできるかもしれないし、競争意識だって生まれるからモチベーションが高まるかもしれない。
…魅力的。
さて、デメリットも挙げようか。
誰かが一緒に走ってくれないと走れないし、やりたくないときや気分が乗らないときにも半強制的に練習をやらないといけない。足を痛めてしまったのに練習を休んでいると申し訳ない気分や取り残された気分、無理をしてやらないといけない気分になったり「走らないの?」と言われて心苦しくなるかもしれない。
気が合わないメンバーがいても一緒に走らないといけないかもしれないし…。
思いつくデメリットはこれだけではなく、本当のデメリットはもっと深刻なレベルに及ぶことだってある。
それは自分のレベルに合っていない強度や距離でも練習をやらないといけないということ。
それは仮にサブ4を目指すメンバーで集まって練習をしようってことになったシーンで例えてみようか。
「サブ3.5を目指す」と言葉で表現をするのは簡単だけど、サブ3.5が目前に迫っている人とサブ4をしたばかりの人では走力に違いがあるし、体力的にも違いはある。
なのにみんなで練習をしようと決めたものだから、一番下のレベルの人が体力的に一番つらいことになる。
なんとか一緒に練習をすることができたのなら嬉しさのあまりモチベーションは上がると思うけど、身体にかけた負担は余裕を持って練習を終えた人達とは比べ物にはならないほどだし、それが続いていくものだから足を痛めるリスクだって高くなっていく…
なんとか一緒に練習ができているならモチベーションが上がるという意味で救いはあるけど、一緒に練習を終えることができなかったらどうしよう。
みんなと一緒に走ることが嫌いになるかもしれないし、自分はこんな練習もできないんだと劣等感を覚えるかもしれない。
せっかくランニングが楽しくなって速く走れるようになったのに、走ることそのものを嫌いになってしまうかも…とか。
これは集団型の昔ながらの学習塾と最近増えてきた個別指導型の学習塾で考えるとわかりやすいかもしれないね。
昔ながらの学習塾のメリットは「競争意識が芽生える」「カリキュラムに沿って目標へ向けた勉強ができる」「周りの目があるから勉強をやらないといけない環境にある」などかな。
デメリットは「劣等感が生まれる」「ついていけなくなったら成績が落ちる」「わからないのに進んでいくから質問しにくい環境になってしまう」などなど。
個別指導型の学習塾のメリットは「自分のペースに合わせてカリキュラムを消化できる」「わからなくなっても反復して同じところを勉強できる」「少しずつだけど問題を解いていくことによって自信がつく」など。
デメリットは「競争意識は存在しない」「目標としているレベルへ到達しないかもしれないので、目標を下方修正しないといけない」「監視の目が緩いので勉強に集中できない」など。
学習塾の場合は指導者がいるから、自習室のようなもので考えたほうがわかりやすいかもしれない。
勉強の場合は学生だから期間が決まっているけど、生涯スポーツのランニングは学生と違って期間が決まっていない。
(決まってはいないけど年齢による体力の低下はあるから一概には言えない。それでも歴で考えると伸びしろはまだまだあるとも考えられる。)
勉強でもランニングでも結局は自分との戦いだし、問題を解くのも走ってゴールを目指すのも自分自身と考えたら、一人で勉強(練習)することも必要だと言えるよね。
だから「単独走」なんて概念が生まれるし、そういった練習もやらないといけないのかなって思うんじゃないのかなぁ。
それなら最初から一人で練習していたほうが…とか、練習ではパートナーかもしれないけど大会では一緒に走ってもらえないかも…とか、他にもいろんなことが思い浮かんでくるんだけど。
そういったことを考えていくと、一人では練習ができないからチームに所属して誰かと一緒に練習をしたとして、それをずっと続けていくと一人で練習をすることはいつまで経ってもできないままだし、いつまで経っても一人では練習ができないから自分に合ったペースで練習をすることもできないし、自分に合ったペースで練習ができないから実力も思ったほど身についてなかったりすることもあるわけで。
そういうわけで僕は「チームに所属して練習をする」とか「誰かと一緒に練習をする」ということは考えず、できるだけ「一人で練習をする」ということを基準にしているし、「これだけは絶対にやらないといけない」という練習(タイムトライアル的な練習)は緊張感を生み出すために誰かを誘うよりも大会を利用することはある。
「練習の一環として大会へ出ている」という川内選手は「誰かがいる」という緊張感を生み出すために大会へ出場しているはず。
(あ。みんなが考えている「練習のつもりで…」とは違った意味になっているかもしれないという疑問が生まれた。)
走るのは自分だもの。
走ることを選んだのも自分だし。
それでも考え方は十人十色。
僕の考え方が絶対ではないけど、一人でも練習に取り組める気持ちを持たないと走らないといけないときに走れないかもしれないよ。
僕は自分から誰かを自分の練習に誘うつもりはないから、僕と一緒に練習をしたいと思う人は僕の練習に付き合ってね。
だって、僕の練習だもの。笑
【リクエストへの回答】
チームに所属したほうが良いとは言い難いのかな。自分に合った練習ができたり追い込む練習ができないかもしれないからね。
何より、たくさん走ったり追い込むチームへ合流して走れなくなった人達を知っているから、メリットは確かにあるけどデメリットのほうが強く感じてしまうというのが正しいかもしれない。
ただ、自分に対して厳しくなれないのならレベルが上がるほどに目標達成が厳しくなっていくはずだよ。
がんばろう。